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ショートストーリー <P2.>

※この物語に登場することは、すべてフィクションです。

「運命の輪 (同人誌「睡蓮」4号に掲載)

          

---つづき---

それは二ヶ月ほど前。

いつものように午前7時31分の地下鉄に乗った。

あと二つで降りる駅だというときだった。

カーブで列車が大きく揺れ、凄まじい金属音が響き、乗客の悲鳴が上がった。

気が付いたときには、私は横たわっていて、状況がすぐには理解出来なかった。

カーブで大きく揺れたとき、慌てて吊革を掴んだところまで覚えてるんだけど。

起き上がろうとすると、体中がひどく痛む。

強くぶつけたようだ。

天井方向を見ているつもりなのだが、何故か、目線の先には窓があった。

どうやら、あの後、列車は転倒したらしい。

列車内は静まり返っていて、照明が点いたり消えたりしている。

いつまでもこんな体勢でいるわけにも行かないので、痛みをこらえ、起き上がった。

妙な違和感がある。

あぁ、そうか、分かった。

あれだけの衝撃があったのに、窓ガラスは一枚も割れていないのだ。

車両にダメージを受けたような感じもしない。

他の乗客を見た。

すると、皆、悲鳴をあげながら、倒れそうになった姿勢のまま止まっていた。

誰一人として、ピクリとも動かない。

さっきは、うるさいと思っていたMP3プレーヤーのヘッドホンから漏れる細く冷たい音さ

えも、聞こえなくなっていた。

一体何が起こったの?

みんな、どうなっちゃたの?

呆然と、この不思議な光景を見ている私の背後に、誰か近付いて来る気配を感じた。

しかし、振り返ると誰もいない。

でも、何かの存在は感じるのだ。

段々とその〔気配〕は近付いて来た。


---つづく---

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